東日本大震災より一週間がたった3月18日。White Mountaineeringは震災の影響により予定していた2011AWのランウェイショーの中止を決断した。「この状況だからショーをやるべきだと言う声をたくさんもらって悩んだ」と、デザイナーの相澤陽介はコメントを残している。
〝服を着るフィールドはすべてアウトドア〟と捉え、デザイン、実用性、技術の3つの要素を一つの形にして市場には屈しない姿勢でのものづくりをおこなうファッション・ブランド「White Mountaineering」。デザイナーの相澤はランウェイショー中止を発表した後、それに変わる新しい表現方法を模索。そこで導きだされたのが、ランウェイショーを映像化し、その映像をウェブで配信するというプロジェクトだ。ディレクションは、演出家の若槻善雄(DRUMCAN)、スタイリングは山本康一郎、ヘアはTAKU、メイクはUDAといったこれまでのランウェイショーをともに作りあげてきたスタッフらが集い、音楽は4106xxx(BRAZILIANSIZE / SCAFULLKING etc.)、柏倉隆史(toe)、masasucks (the HIATUSetc)らによってオリジナル・ミュージックが制作。映像ディレクターにはDEFRAGの上山亮二が選ばれた。
なぜ、そこまでしてランウェイショーにこだわったのか?—— それは単純にランウェイショーでしか表現できないものがあるからだろう。撮影中、スタッフらが最も意識したひとつが“鮮度”だった。通常のランウェイショーはあっという間に幕を閉じる。ほんの数十分の間に、20~30人ものモデルたちが慌ただしく着飾られ、勢いよく送り出される。めまぐるしいスピードと、ピリピリとした緊張感のなかで繰り広げられるバックステージを抜け、ほんの15mの距離をモデルが歩く。バックステージのスタッフたちの視線はどこか、リングへ向かうファイターを送り出す“ソレ”に近い。ランウェイ=リングなのかもしれない。瞬間的に盛り上げられるテンションがランウェイに凝縮され、ランウェイショーでしか生み出すことのできないパワーがある。
映像化するうえで、いかにそのパワーをできる限り残し、おさめるか。White Mountaineeringの2011年秋冬のテーマは「wilderness outfitters」だ。ハンティング、サバイバル、ミリタリーといった“男が強く生きていくためのギア”をまとったモデルたちのランウェイをそんなことを意識しながら撮影した。
White Mountaineering