大阪でインテリアデザイナーとして活躍後、八ヶ岳南麓の築130年の家に移り住んだ木村二郎。そこは木村にとって、廃屋から出る古材や梁、農具など“新しい”素材と出会う場だった。少し掘れば出土する縄文土器などからも歴史、伝統への見識は高まり、間もなく古材を用いた家具作りに取り組むこととなる。その家具は様々なメディアに取り上げられ、話題となった。一方でパートナーの悦子さんとともに、ギャラリートラックスという“場”作りも着々と進行。トラックスは当初、地元のクラフツなどを扱っていたが、都心から2人の人柄を慕うアーティストが集い、さまざまな現代美術の展覧会を催す場となるまでに時間はかからなかった。気取りのないこのギャラリーには、できやよい、角田純、五木田智央、大森克己、ホンマタカシ、鈴木親、高橋恭司、北村道子、アンダース・エドストローム、マーク・ボズウィックら錚々たる作家とその仲間たちが集う。5年前、惜しまれつつこの世を去った木村二郎を見送ったのも、そんな賑やかな仲間たちだ。
現在、ギャラリートラックスからほど近い、北杜市立須玉歴史資料館では「木村二郎回顧展」を開催中(11/30まで)。初期のオブジェ作品、家具、インテリア、映像作品まで木村の多様な作品が見られる。ギャラリートラックスでは「We have a real good life.」が開催中(11/2まで)。
最後に、世知辛い現代を生きる指針とでもいうかのように、寡黙な木村が残した言葉をひとつ。——「愚かなルールに屈しないようにすると楽しい(規範がなくて、何だか変な道徳、教育を重んじるヘンな日本だから)」