学生や研究者などが学習のために訪れるのではなく、純粋に好奇心を持って楽しめる展示空間―。博物館のもととなった「ヴンダーカマー(驚異の部屋)」と呼ばれる陳列室は、はく製や標本から、それらを組み合わせて“でっち上げた”架空の動物の造形物まで、フェイクとリアルの境界も設けることなく構成されていたという。であるからこそ、学術標本としての価値だけではなく、驚きや楽しみを体験できる展示空間を東京大学総合研究博物館が目指すのも、ごく自然なことなのだ。そこで開催された現代アーティストとの協働による特別展示『ファンタスマ―ケイト・ロードの標本室』。館長の西野先生は、オープンな感覚でこの企画展をともに作り上げた結果について、とても興味深いことをおっしゃっていた。「プランや設営状況を見ていて、ある程度予想はできていました。驚いたのは、実に女性的なアートワークだったということ。裏を返せば、自分たちがいかに男性的で、マッチョ的なことをしていたのかに気付かされたということですね。何をもって男性的/女性的と判断するかは微妙なところですが、皮膚感覚として、ケイトさんは自分たちのやらなそうなことをやってくださった、ということでとても大きな貢献をしてくださいました」
東京大学総合博物館 公式サイト
『ファンタスマ』展