トーマス・キャンベルは、ほぼ独学でアートの技術を身につけた表現者だ。1999年に発表された初長編サーフ・ムービー「The Seedling」や2作目の「Sprout」。これらのサーフ・ムービーは、大半の時間を世界中のサーフ・ポイントめぐり、写真を撮って過ごしてきた彼のライフワークが色濃く反映されている。カリフォルニア州サンタクルーズには小さなアトリエを所有し、ときにペインターとして何日間も閉じこもり、何百枚もの独特な作品たちが生み出される。かたや、レーベル<Galaxia>のクリエイティヴ・ディレクターとして、親交の深いトミー・ゲレロやレイ・バービー、ペギー・ハニーウェルといった面々のアルバムもリリースする。ぺインター、映像作家、フォトグラファー・・・・・・彼の表現の領域は多岐に渡る。
昨年よりGRAVISのTEAMへと加わった彼が「日本のファンヘ向けて過去の作品や制作の経緯を直接伝えたい」と、本人たっての希望で実現したアートレクチャーが11月2日に渋谷duoで開催された。エントリーフリーで催されたこともあり、多くのファンが来場し、彼の経歴と作品に隠された創作意図や人生観までがあますことなく披露された。10代の頃からスケートをはじめ、自身のライディングを撮影しまとめた「GENE」というZINEが、彼のアート作品の原点だったそうだ。「アートの才能なんてなかった。でも、スケートのトリックをひたすら練習し続けるように、アートだって何度も挑戦するうちにできるようになる」その純粋なメッセージに共感を得た人々は多かった。
DIY 精神を持ち続けることは容易なことではない。ただし、自らの手で表現したいことを具現化し、それを世に広める方法は今、多種多様にある。一歩を踏み出し、それを続けられるかどうか。やりたいように生きる難しさ、そして楽しさを知るトーマス・キャンベルの言葉から得られることはたくさんある。