ヒロ杉山がネット上で、一日一枚絵をアップしている。それを一日も欠かさずに365日続けていくらしい……そんな噂を耳してからあっという間に一年が過ぎ、2010年の夏に『デイリーペインティング365』は完結した。「今日書いた」という行為は、マイケル・ジャクソンが亡くなった日には"ROCK WITH YOU"という文字として、また、広島・長崎に原爆が投下された時期にはキノコ雲からインスピレーションを受けたモチーフとして、ダイレクトに落とし込まれた。
「書いた絵を、その瞬間にアップする。ネット上にアップするということは、世界中の人に向けて毎日作品を発表できるということ。どんなにピカソが優れた絵書きだったとしても、この表現で絵を発表することはできなかった」と語るように、ヒロ杉山の頭の中にはつねづね“もしピカソがこの時代に生きていたら”というような発想の種がある。今の時代に生きているからこそ可能な表現と、その発信の方法。アートだけで生計を立てることが困難な国で80年代、90年代、00年代を生き抜くためにアートとデザインの境界線を行き来し、あるときはアーティスト、あるときはアートディレクターとして現在に至る。だからこそ養われたヒロ杉山ならではのクリエイティビティ・バランス。それはいったいどんなものなのだろうか――