情報処理やデータの管理をネットワークの向こう側にゆだね、手元には最低限の端末と通信環境があればこと足りるークラウドコンピューティングをひとことで説明すればそういうことになるだろう。クラウドという言葉を意識しなくとも、Gmailに代表されるWebmailや、dropboxのようなオンラインストレージ、写真共有サービスのFlickrなどを多くの人が利用した経験があるのではないだろうか。
その中でも、すべてを記憶する”外部の脳”=Evernoteは急激な勢いでユーザーを増やし続けているクラウドのヒットサービスだ。その素晴らしいインターフェイスとアクセシビリティ、検索性は一度使ったら手放せないツールとなる。
一方、Eye-Fiはクラウドを利用しながらも、カードメディアという実態を持ったプロダクトであるという特異な製品。デジタルカメラで撮影した写真をWifiで自動的にローカルのPCヘ、さらにネットワーク上のクラウドサービスへと転送するシンプルな機能は、カメラを記念撮影のような情感的な機械から、目に飛び込むすべてのものを記録し、公開する情報収集ツールへと変化させる。
フランスの思想家ジャック・アタリは、その著書『21世紀の歴史』の中で、『オブジェ・ノマド』。つまり、超小型の情報通信端末を中心とした数々の産業が、カリフォルニアを世界の『中心都市』たらしめていると言及している。
その『オブジェ・ノマド』を代表するEvernoteやEye-Fiが、自由でノマディックな風土を持つカリフォルニアで生まれたのは、果たして偶然と呼べるだろうか。